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CD感想:La'cryma Christi「Sculpture of Time」

雑記 2016.03.12 Sat

La'cryma Christi「Sculpture of Time」

1.Night Flight
2.南国
3.Sanskrit Shower
4.Ivory trees
5.Angolmois
6.Letters
7.偏西風
8.ねむり薬
9.THE SCENT
10.Blueberry Rain

La'cryma Christiのメジャー流通では一枚目のアルバムであり、未だ比肩するものの無い強烈な独自性を持つ名盤。La'cryma Christiはいわゆる「ビジュアル系」に分類されるバンドではあるが、その楽曲はこの界隈に特有の「暗く」「冷たい」ものにはまったく当てはまらず、おしなべて、まるで正反対の「明るく」「暖かい」ものとなっている。「ビジュアル系において明るく暖かい」この一点のみにおいても、「未だ比肩するものの無い強烈な独自性」を成り立たせるには十分な材料ではあるが、このLa'cryma Christiというバンドでは、この上に、世界各国のエスニックなモチーフを取り入れた「独自な世界観」、いわゆる「プログレッシブ・ロック」に分類され、前衛的な構成が多く見られる「独自な曲構成」とが併用されており、この複数の局面において散見され、従来の「ビジュアル系」の型に当てはまらない要素こそがLa'cryma Christiを「未だ比肩するものの無い強烈な独自性」と称する所以である。

このアルバムに収録されたシングル曲のひとつである「南国」のミュージックビデオがオセアニア、パラオで撮影されたこと、「南国」「偏西風」といった曲名からも明白なように、前述の「エスニックなモチーフ」の中でもこのアルバムは、インディーズ時代に発表された「Dwellers of a Sandcastle」に収録されている「カリブで生まれた月」などの世界観を引き継ぐ形で、赤道が通り…青い海が広がり…緑が茂り…生暖かい雨が降り…といった、南国的イメージを特に強調しており、全曲に通底してこの世界観が存在している。一曲一曲がほぼ切れ目なく繋がる形で十曲が存在しており、抽象的な表現を用いるなら、この作りによって、まさに一曲ごとに「南国」の別々の風景へと旅をしていくような…感覚を味わえるのである。

十曲目に収録された「Blueberry Rain」の歌詞の最後に一曲目のタイトルである「Night Flightへいこうよ」と事実としてあり、「リピート再生」を行うことにより再び切れ目なく始まる、南国への旅が再開する…作りとなっていることは、バンド側からのこうした演出的意図が明確に感じられる事柄だといえるだろう。この点ではある意味で、La'cryma Christi「Sculpture of Time」は「南国」というコンセプトアルバムである、ということが出来るかもしれない。

暖かな南国を連想させる楽曲で固められているがゆえに、収録されている楽曲がどれも「優しすぎる」感は残念ながら禁じ得ないため、このアルバムをはじめて聴いた際の精神状態によっては、楽曲がどうも響いてこないということもあるかもしれない。そのような思いを抱いたユーザーでも、出来れば、「別の精神状態での」再度の視聴を勧めたい一枚である。

ビジュアル系の発展段階において突然変異的に現れた名盤であり、「おすすめ出来る」曲は全てであるが、強いて挙げるのであれば二曲目に収録されている「南国」であろうか。先に述べたとおりアルバム全体に「南国的な世界観」が満ちているため、ユーザーによっては楽曲のひとつひとつの印象が薄くなってしまうという可能性も無きにしも非ずなのだが、この曲に関してはシングルで発売された作品ということもあり、非常にキャッチーで聴きやすく、印象にも残りやすい楽曲となっているためである。
 
 

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