アムジスト雑記

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零~濡鴉ノ巫女~ ファイル 人形供養について

人形供養について

人形を河に流す供養について、日上山に伝わる言い伝えに沿って行うことにした。
この山では、古くから山に流れる「水」を御神体としていたらしく、命はその水から生まれ、水へと帰るのだそうだ。

社地下にあった洞窟の人骨は、全て水の底に横たわっていた。
おそらく、「命を水に帰した」のだろう。

この神社は、御澄川という川を挟むように建てられており、その間には廊下が渡されている。
調べてもらったところ、川の底や下流から多くの人形が見つかった。
ヒトガタミに込められた魂たちは、この廊下から川へと帰され、供養されていたのかもしれない。
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零~濡鴉ノ巫女~ ファイル 形代神社の記録 一

形代神社の記録 一

無人となっていた形代神社を継ぎ、復興するにあたり縁起を探したが、見つからなかった。
名前から山頂の大禍境にある「形代奥社」の分社であろう。
付近に残る伝承などから「ヒトガタミ」を納める神社であるということがわかった。
「ヒトガタミ」とは、おそらく神社内にあった古い人形たちのことだろう。

参道が整備されたこともあり、徐々に参拝客が訪れるようになった。
古い人形を陰干しのために濡縁に並べたところ、同じように人形を納めて行く人が後を絶たない。
断るわけにも行かず、悪いことでは無いと思われるため、このまま受け入れていく。

古い人形たちを修理していて分かった。
この神社に納められていた古い人形には、それぞれに名前が刻まれている。
また、人形のいろいろな部分に隠されるように小さな歯や、骨、小さく束ねた髪の毛などが収められている。
これらは、子供たちの、形見や寄り代としての人形なのではないだろうか。

かつてのこの神社は、亡くなった子供の魂を、人形に込めて納める神社だったのかもしれない。

神社の地下に大きな空洞があることがわかった。
胎内洞窟と呼ばれる洞窟に繋がっている部分であるが、その中に大量の人の骨が沈められていた。
この神社は、元から人形を納めに来たのではなく、「人」を納めに、
つまり、捨てに来ていた場所であったものが、後に人形に変わったのではないだろうか。

地下の空洞は倉庫として改装し、骨を人形に入れ、奉納された人形たちと共に供養してやろうと思う。
 
 

零~濡鴉ノ巫女~ ファイル 形代神社の記録 二

形代神社の記録 二

子供たちが遊んでいる。
夜中、気配で目が覚めることがある。
翌朝、片付けたはずの人形が別の場所に移動している。
そんなことが何度か繰り返されるうち、
その遊びの音はだんだんとはっきりと聞こえ、私自身も一緒に、子供たちと遊んでいるような夢を見る。

子供たちの姿ははっきりは見えないが、亡くした娘もそこにいるように思える。

夜、視線を感じて目を開けると、白髪の少女がこちらを見ていた。
その子は「あなたの娘は、あなたが直した人形で遊んでいるから心配しないで」と告げて姿を消した。
その目は全てを見通しているようで、私の思ったことに答えてくれているようだった。
 
 

零~濡鴉ノ巫女~ ファイル 形代神社の記録 三

形代神社の記録 三

子供たちと遊んでいる夢は、よりはっきりと見えるようになった。
私は、毎夜子供たちと遊ぶことが楽しみになっている。
ともすれば、目を覚ましたくないと思うほどに。
あの遊びはどういうものなのかと調べてみると、この土地に実際にあったもののようだ。

一つは「神隠し」
これは、お互いの人形を隠して、各々が自分の人形を探す、というよくある遊びなのだが、
最後まで見つからなかった人形は、神隠しされたとして、それ以後探してはならない、という。
人形はこの山の木で作られた、簡素な木彫りの人形が使われていたらしい。

もう一つは「遊婚」
一人を除いて全員の人形を隠して、「マレビト」と称される鬼が、最初に選んだ異性の人形を探す、と言うもの。
「ごっこ遊び」でもあり、見つけた人形の持ち主と「契った」つまり結婚したことになるという。
ただし、他の人形を見つけてしまった場合はその場で鬼は交代になる。

二つの遊びは、古い儀式を模したものという説もあるらしい。
夢の中の遊びはいつ終わるともなく続くが、最後は決まって霧の中に子供たちが消えていく。
あの子供たちについていったら、どうなってしまうのだろう。
 
 

零~濡鴉ノ巫女~ ファイル 形代神社の記録 四

形代神社の記録 四

今日の夢は、息苦しいものだった。
夜、かがり火を手にした何人もの男たちが、長い時間をかけて、この神社の本殿の地下を掘っていた。
そして、誰も取り出せないような地中の奥深くに、黒い箱を下ろし、埋めていた。

箱の中には、あの白髪の少女が眠っている。
誰かを待っているようだが、私ではない。
私は、待っていないから。
そう思った。
目が覚めたとき、それがすごく悲しいことだったのを憶えている。
 
 

零~濡鴉ノ巫女~ ファイル テントにあったメモ

テントにあったメモ

ここに来て何日目だろうか。
もう数える意味も無い数字だけど。
あわてて死ぬことは無い、と思って準備をして来て良かった。ここは居心地がいい。
一人だと寂しいかとも思ったけど、人の気配は感じる。
生きている人ではない。
噂どおり、あいまいな場所なのかもしれない。

子供たちが遊ぶ声を聞いた。
見に行ってみようと思ったが、近づく前にみんな逃げてしまった。
あの子たちも、この山に入ったのだろうか。
それとも、置いていかれたのかもしれない。

誰かが息を荒げて走るのを聞いた。
その後、誰かが叫び声を上げた。
私は怖くて、息を潜めて隠れていた。
死ぬのはいいけど、アレは嫌だ。

白い服を着た女性を見た。
薄布を被っていたので、顔は見えなかった。
しばらくこちらを見て、そのまま去っていった。
あの人は、どちら側なのだろうか。
また、逢えるだろうか。

あの人は毎日あらわれ、私を見ている。
視線を感じるだけで、気配は感じない。
そして、ふと気がつくと、いなくなっている。
ずっと見ているつもりなのに、消える。

声を聞いた。
叫ぶような、歌うような、哀しい声。
だれかを呼んでいる。
そう思ったけど、まだわたしじゃない。
それがかなしかった。

待って来たものはなくなった。
もう何もない。

ここはいいところだ。もういいだろう。
これでよかった。ここにきてよかった。
あの人がきてくれる。
つれていってくれるだろうか。

よんでる。
   いかないと
 
 

零~濡鴉ノ巫女~ ファイル 沈められたメモ

沈められたメモ

夕陽を見ていると、泣きたくなる。
私にはもう、帰る場所が無い。
帰っても誰もいないことに気づいた。
みんないるのに、だれもいない。
そう思った。

気がついたら、山に入ってた。
夕暮れに山には入ってはいけない。
おばあちゃんにいつもいわれてたのに。
でも、足はどんどん進んで、ここに来た。
夕陽がどんどん大きくなって、息苦しくなるくらい、迫ってきて。
なのに足は止まらなくて、ここに来た。

何か書かなくちゃ、と思って、あわててこれを書いてる。
水に入らなきゃいけないから。
その前に書かないと。
何をかけばいいの?

ああ、よんでる
もうはいらなきゃ
日がくれるまえに
 
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