アムジスト雑記

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零 紅い蝶 ファイル 祭主の手記 一

祭主の手記 一

×の瘴気が強くなってきている。
残る記録を見ても、過去これほどに×の瘴気が強くなったという記述は見当たらない。

近年の不作による死者の増加が影響しているのか。
立花による儀式が失敗したことの償いを迫られているのか。
他の村からも、儀式をもとめる供物が納められている。急がねばならぬ。

忌人の半数が瘴気にのまれ狂い、×へと飛び降りた。
新たに忌人を作らなければならぬ。罪人をこれにあてる。

このままでは数年のうちに×があふれる。
娘達を紅贄として、儀式を行うしかない。
八重と紗重の祓いを急がなければ。

村のためだ。
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零 紅い蝶 ファイル 祭主の手記 二

祭主の手記 二

よい時期にマレビトが訪れた。

あの男を楔と成して陰祭を執り行い、×をふさぐしかあるまい。

決して逃がさぬよう。
 
 

零 紅い蝶 ファイル 祭主の手記 三

祭主の手記 三

双子を産みしのち、あれは心を病みて自ら×へ身を投げた。
その後、八重と紗重にはできるかぎり不自由させぬようそだててきた。
寂しさを感じさせぬように。

×は苦痛をくらいてやすむると言われる。
姉が妹を殺める紅贄の儀式。

むごいようだが、仕方があるまい。
 
 

零 紅い蝶 ファイル 祭主の手記 四

祭主の手記 四

八重と紗重は鬼隻となりし少年にそそのかされ、村を出たようだ。

楔により抑えたとはいえ、×の震えはまだ鎮まらぬ。
二人を捕らえられなければ、この村は×にのまれる。

たとえわが娘であろうと、捕らえねばならん。
 
 

零 紅い蝶 ファイル 祭主の手記 五

祭主の手記 五

八重は戻らない。
紗重を見捨てたか、ともすれば森で果てたのか。

祓いをすませた巫女であれば、
紗重一人でも×をしばし抑えられるかもしれん。

残されしわずかな記録にしたがい、
妹なる巫女一人で儀式を行う。
 
 

零 紅い蝶 ファイル 人形師の手記 一

人形師の手記 一

鬼隻となりし姉の茜を慰めんがため、薊の形身となる人形を作る。

儀式の日より心を病み、感情を失った茜は、
人形と並ぶとどちらが人か、どちらが人形かわからないほどだ。

はかたときも薊より離れず、薊に話しかける。
何を話しているかはわからぬが、心も少しずつではあるが、戻りつつあるのだろう。

儀式さえなければ…

薊も蝶となることもなく、茜も心を失うことはなかったのだが。
 
 

零 紅い蝶 ファイル 人形師の手記 二

人形師の手記 二

昨夜、薊がひとり歩いているのを見た。

茜かとも思ったが、あの足音は人形のものであった。
茜が薊を思うあまり、もののけの魂を引き入れてしまったのだろうか。

魂を持った人形は躯(むくろ)となりて人の魂をさらうと言われている。

茜ももはや、人とは言えぬ。

薊に操られ、「殺したくない」と、くり返すのみの人形と成り果てた。

たとえ娘と同じ姿であろうとも、もう一度、薊を殺さねばならん。
 
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